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ザ・戊辰研マガジン

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歴史ある磐越西線

2021年09月07日 00:04 by norippe

 新潟県と福島県を結ぶ国道49号線、昔は「新平線(にっぺいせん)」と呼んでいた。新潟といわき市の平を結ぶ道路なので新平線である。
 冬の新平線、特に郡山から西への先は、雪で悩まされる道路であった。磐梯熱海を過ぎ、猪苗代に行く手前に中山峠がある。カーブと坂が続く道である。鋭角に曲がるカーブを過ぎるとほぼ直線の長い坂道が出て来る。この坂道がくせ者だった。
 雪が積もった道路の坂を登るのだが、途中でスリップして登れない車が出て来ることがある。後に続く車は、車間距離をとらないと巻き添いを食って登れなくなってしまう。前の車が登り切ったことを確認してから登り始めることが、この中山峠のこの坂の鉄則なのだ。私はそれを知っていたので、いつもこの坂はすんなり登ることが出来た。現在は新しい道路、そしてトンネルも出来て、この坂は通行止めとなっている。

 新潟駅と福島県のいわき駅を結ぶ鉄道は、郡山駅を境に東が磐越東線、そして西が磐越西線である。
 兄弟二人で歌を歌う「狩人」という歌手がいる。「あずさ2号」という歌で一躍有名になったが、実は「磐越西線」という歌も歌っていることはご存じだろうか。なかなかいい歌なので一度聴いてみてはいかがかと思う。
試聴はこちら(Youtube)

 私が小さい頃、この磐越西線に乗った時に大変興味があったのが、汽車がスイッチバックで勾配を登ることだ。話には聞いていたので、はたしてどんなものか興味津々だった。
 郡山駅から行くと猪苗代湖の手前、中山宿と上戸間に中山峠があるが、ここは最大25パーミルの勾配があり、登るには大変困難な場所となっていた。そこで、この中山宿駅に勾配を登り切るためにスイッチバックが導入されたのだ。





 スイッチバックとは、険しい斜面を登坂・降坂するため、ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに敷かれた鉄道線路のことをいう。日本の鉄道では各地にこのスイッチバック方式を採用した鉄道があった。それだけ日本は山が多いということなのだろう。

 その後、列車が石炭の蒸気機関車から電気機関車へと変わり、馬力も向上したため、スッチバックに頼らずとも峠を越えることが可能となったため、中山宿のスイッチバックは平成になってから廃止となり、駅も800mほど会津若松寄りに移転されたのである。

1899(明治32)年 磐越西線が山潟まで開通。中山宿駅が設置される。(当時は岩越鉄道)
1963(昭和38)年 直通不可能だったスイッチバックを直通可能(通過式)に改良。
1967(昭和42)年 電化が完了。断面の小さな隧道が多数廃止される。
1997(平成9)年 中山宿駅が西側に移設され、同時にスイッチバックも廃止される。

 磐越西線は出来た当初は「岩越鉄道」と言った。この岩越鉄道の開通には、あの渋沢栄一がおおいに関与していたのである。
 福島県の郡山から新潟県の新津を結ぶ私設鉄道として計画された鉄道がこの岩越鉄道である。1892(明治25)年に福島県知事に就任した日下義雄は「地域発展のため鉄道は不可欠」との強い信念があり、この路線開通のために奔走し、東京の渋沢栄一のもとにたびたび相談に訪れた。
 渋沢栄一は日下に対して「中央からの援助を待つばかりではなく、地元の資産家も資本投入をするべき」とアドバイスをし、自らも出資すると同時に株主を募り、創立委員の一員となったのである。また創業以来1903(明治36)年に退任するまで取締役として同社経営に関与をした。
 岩越鉄道はその後、1906(明治39)年の鉄道国有法実施により官設鉄道岩越線に、1917(大正6)年には磐越西線となり、後にJR磐越西線へと継承されていったのである。



 コロナ禍で旅行も出来ない日々が続いているが、感染が落ち着いて自由に移動が出来るようになったら、昔を思い出し、この磐越西線の歴史を味わいながら旅をしたいものである。



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