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ザ・戊辰研マガジン

2021年09月号 vol.47

新型コロナウィルスの猛威で霞んでしまった復興五輪

2021年08月15日 14:57 by tetsuo-kanome
2021年08月15日 14:57 by tetsuo-kanome

【福島県福島市の東京オリンピック2020開幕式典・おもてなしの模様】

【福島県営あづま球場】

 復興五輪と銘打った東京オリンピック2020は、7/21に福島県福島市の県営あづま球場で、女子ソフトボール開幕戦で競技が始まり、19日間にわたる熱戦を終えました。新型コロナウイルスの感染拡大で県営あづま球場を含め大半の会場が無観客になるなど、当初掲げられた「復興五輪」の理念は感染拡大の影に隠れる形となってしまいました。 オリンピック開催直前まで新型コロナウィルスに福島県も翻弄されました。野球・ソフトボールの試合が行われましたた県営あづま球場は、開幕約2週間前に無観客が決まり、歓迎行事も全て中止になりました。観客受け入れの準備をしてきた都市ボランティアは活動の場を失いました。福島市民は、「せめて子どもたちだけでも観戦させてほしかった」と話しております。県営あづま球場での日本代表の計3試合はいずれも日本が勝ち、国内の関心は集まりましたが、海外メディアの姿は少なく、海外への情報発信という点で物足りなさが残りました。期待された県内自治体のホストタウンとしての交流事業も制限されました。東京電力福島第1原発事故の避難指示が残る飯舘村の村民の一人は「復興五輪という言葉だけが強調され、無観客も重なりました。本当に復興の現状を世界に発信できたかどうかは疑問だ」と指摘しております。

 また、福島県営あづま球場では、トヨタの大会専用APMや歩行領域EVなど先進技術も投入して、日本の先進技術をアピールするはずでした。

【トヨタの大会専用APMや歩行領域EV】

【オリンピック野球の侍ジャパンの選手団を歓迎する福島市民】

 しかし、素晴らしいエピソードもありました。福島県産農産物をPRする機会も減ってしまいましたが、女子ソフトボールのアメリカのエリクセン監督は、福島で2日間の試合を終え「福島の人々がファーストクラスの運営をしてくれた」と賛辞を贈り、「桃はデリシャスだった」と笑顔で話した。ホテルで6個食べたと発言して、SNSでは「福島の桃」がトレンドワードになり「このニュースだけでも幸せな気持ちになれて良かった」などのコメントが寄せられました。

【女子ソフトボールのアメリカのエリクセン監督の会見の模様】

【福島県産の桃(あかつき)】

 JAグループ福島の担当者は「こういう形で(おいしさと安全性が)広がったことはありがたい。関連行事などはなくなったが、唯一かなった部分だ」と喜んでおりました。表彰台でメダリストの手元を彩った「ビクトリーブーケ」も注目された一方、科学的根拠もなく安心を確保できないなどとして、県産食材を使った選手村での食事を見合わせた国があり、政府の情報発信と対応の在り方が問われました。数少ない有観客会場となったサッカーのキューアンドエースタジアムみやぎ(宮城県)では、スタンドに復興支援への感謝を伝える横断幕が並んでおりました。横断幕を掲げた観客の一人は「テレビで見る世界の人に復興五輪の思いを伝えたかった」と明かしました。被災地での競技を終え、平沢勝栄復興相(福島高卒)は「復興のメッセージは伝わった」と胸を張っておりましたが福島県が思い描いていた形とは程遠いものとなりました。

 オリンピック競技では9競技に計15人の福島県勢が出場し、活躍が福島県民に感動と勇気をもたらしました。特に、バドミントンの渡辺勇大・東野有紗組(日本ユニシス、富岡高卒)は、県が2006(平成18)年から取り組むトップアスリート育成のための「双葉教育構想」出身で初のメダリストになりました。

【銅メダル獲得のバトミントン混合ダブルスの渡辺勇大・東野有紗ペア】

 首都圏を中心に全国的に第五波の新型コロナウィルスの感染拡大で、開催の賛否が分かれた東京オリンピック2020では、日本は金銀銅合わせて史上最多の58個のメダルを獲得しました。一年延期などの困難を乗り越え、栄冠を手にしたアスリートたちには心から拍手を送りたいと思います。 日本のアスリートたちの活躍とは裏腹に、理念に掲げた「復興五輪」が実現できたとは言い難いと思われます。福島県内の世論調査でも、六割近くが復興を伝えられなかったと回答を寄せました。多くが無観客となり、被災地の今などを発信する機会が失われた結果ですが、工夫の余地がなかったか検証が必要と思われます。オリンピック組織委員会をはじめ、関わる人々には、もう一度、復興の理念に思いを巡らせてほしいと願いたいものです。あの日から十年を経て、感謝を伝えるすべは何かないのか。五輪の反省を生かすことができれば、必ず大きな「遺産」につながると思います。

 また、東京オリンピック2020の開会式では、会津びいきの皆様には一番のサプライズがありました。日本国旗入場のシーンで、大河ドラマ「八重の桜」の『輝かしい未来へのエール』が流されました。いやぁ、感動しました。

【開会式の日本国旗入場シーン】

   東京オリンピックでは、日本の女子ソフトボールチームが13年ぶりに金メダルを獲得しました。これを受けて、福島市観光コンベンション協会は、JR福島駅西口にある市観光案内所で特別展示を始めました。福島市のあづま球場で試合を行う日本代表を応援しようと、7/20から上野由岐子投手のサイン入りユニホームなどを展示中で、特別展示として、「祝金メダル」のメッセージや、金メダル獲得を伝える福島県の地元の新聞紙面などを追加しました。

【日本女子ソフトボールチームの金メダル獲得のお祝いの新聞等の展示模様】

 

 福島県福島市の福島県営あづま球場を舞台に行われた東京五輪2020の野球・ソフトボールでは、宇津木麗華監督擁する女子ソフトボール日本代表が二連勝しました。稲葉篤紀監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」も初戦でサヨナラ勝ちして勢いに乗り、そろって金メダルを獲得する活躍へとつながりました。福島県営あづま球場前には、今年の十一月ごろ、五輪開催の記念碑が設けられる予定です。競技関係者らはレガシーを継承し、競技振興や地域づくりにつなげる一手を探っております。福島県営あづま球場が、野球とソフトボールの『聖地』として語られていくことを願うばかりです。 

【記者 鹿目 哲生】

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