ザ・戊辰研マガジン

Vol.7

開かずのシャッター

2018年05月04日 12:20 by norippe

 またひとつ、そしてまたひとつとシャッターが閉まって行く。「長い間のご愛顧をありがとうございました」の張り紙が張られ、もう開く事もないシャッター。街中にそんな風景が多く見られるようになった。



 いつも楽しみに通っていた書店が店を閉めた。イトーヨーカ堂平店の4階にテナントとして入っていた老舗書店である。数か月前に、Facebookで星先生の書籍を紹介したばかりだったが、その店がなくなってしまったのだ。全国的に書店の経営はどこも厳しいとは聞いていたが、やはり近所にある本屋が無くなるととても淋しい。この店は専門書とかは置いていないが、ちょっとした雑誌や単行本を買うには便利な店であった。食料品を買うついでにこの書店に立ち寄るのが私の行動パターンであった。これからは4階まで上がる事も無いかも知れない。
 もう何十年も前になるが、郡山の駅前アーケードにあった東北書店が閉店した時もショックだった。確か5階まで全部書店で、専門書はここで探せば大体は見つかる。私が高校に通っていた時は、このアーケードが通り道で、この書店をいつも利用していた。店員の接客も挨拶もしっかりしていてよく出来た書店であったのだ。これからはこういった店はなかなか出て来ないだろう。

 私の友人の親が経営する薬店が店を閉めた。動物薬も扱っているなかなかの老舗であったが、近くに全国展開する大型ドラッグストアーが出来てしまったのだ。物量や価格で圧倒され、いくら頑張っても売り上げダウンは否めない。老舗の場合、売る方も年々歳を取ってきているが、買う方も世代交代。昔から買い物に来ていた客は歳を取って、息子・娘が家を仕切るようになり、若い世代は安くて大きな店に足を運ぶ。親がお世話になった店など関係なし。義理人情はまったく無いのである。
 私の女房の実家も田舎の山の中で酒屋を営んでいた。昔は繁盛していた店だった。盆や正月はとても忙しく、私も配達を手伝ったりしたものだ。しかし当時贔屓にしてくれていたお客様は歳をとり、そして亡くなったりして、世代交代になってしまった。そして配達は無くなり店に買いに来る客も無くなった。少し遠くても、価格の安い量販店に車を走らせるのだ。田舎では、葬式などがあると酒を供物に捧げるのがほとんどだ。だから葬式があると、ひっきりなしに酒の注文の電話が入り、その度に酒を箱に詰め、名前を書いた佛のしを張り、車に載せて配達に行くのだ。しかし、世代交代となってからは、さっぱり注文がなくなり、たまに注文があって葬祭場に届けに行くと、供物の山を見てがっかりする。その供物の酒の佛のしには、今まで注文があった人の名前が書かれているのだ。直接葬祭場に注文して葬祭場は量販店から一括納品されているのだ。悔しさが溢れた。その後、女房の両親は病に倒れ、そして店を閉めた。
量販店が限りなく増えていく一方、こうして昔からある個人の店が消えて行く。個性的な店が潰されて、どこへいっても内容の変わらない量販店が増えてしまった。買い物に行ってもまったく面白みが無い。

 我社が配膳スタッフを送り込んでいたお店がこの5月で閉店する事になった。市のテーマパークの中に出来た店だったが、何年も持たずにシャッターを降ろす事になってしまった。浅草では有名なすき焼きの店である。すき焼きと言えば高級というイメージであるが、今の時代にはもうそぐわないのだろうか。昔のイメージを抱いたまま商売をするのは、これからの世の中では通用しないのかも知れない。すき焼きよりは焼き肉。若い人には安くてダイナミックに食べれる焼き肉が魅力なのだろう。

 消えて行く店があれば、新たにオープンする店もある。東日本大震災の津波被害にあったいわき市小名浜に、この夏、とてもビッグなショッピングモールがオープンする。近くには水族館の「アクアマリンふくしま」や「いわきララミュー」があり、食べて遊んで一日中楽しめる場所に変わりつつある。小名浜は昔は漁業や工業の町であったが、これからは商業の町としても栄えそうな雰囲気だ。
 今度オープンするショッピングモールではいろいろな店が入るわけだが、その店の求人広告を見て驚いた。時給1500円以上の売り文句の店がズラリ。家電量販店に至っては時給1700円超え。まっ、これはオープン時だけの時給であって、何ヶ月も続くわけではない。しかし、こういった現象は働く側に大きな混乱を満たすのではないだろうか。その辺のスーパーのパートさんが800円も満たない時給で働いているのに、新人のアルバイトがその2倍の賃金を稼ぐ。アルバイトでこんな高額な賃金をもらったら、先々どうなるのだろうか。まともな賃金では誰も働かなくなってしまうのではないかと危惧する。

 昔からある個人商店は、お客様との気心も知れていて、買う側と売り側が対等の立場で商売が出来た。しかし最近はどうだろう。大型店の買い物では売る側がきっちり挨拶しても、買う側はそれは当たり前といった感覚で威張っている客が多い。お金を払ってあんたの店の品物を買ってあげているんだといった感覚だ。それはおかしい。客が必要としている品物を店は提供してあげているわけだから、お互いが対等の立場のはずだ。売る側だけがペコペコしているのは異様な風景に感じとれる。だからといって客もきっちり挨拶しろという事ではなく、売ってもらっているのだから、感謝の気持ちを持とうという事を言いたい。俺は客だと威張っている事態が異常だ。買ったものを袋に詰め、買い物かごを置き去りにして帰る客、駐車場には放置された買い物カート。自分で使ったものは自分で片付けよう。それがモラルというものだ。
 だが、売る側にも希に態度が悪い店員もいたりする。コンビニではよく態度の悪いアルバイト店員を見かける。露骨に態度に出して客とのトラブルを引き起こす店員だ。これは客に喧嘩を売っているようなものだ。コンビニエンスストアは便利さを売るのがコンセプトだ。喧嘩を売ってどうする。

 複雑な世の中になり、ストレス社会と言われてはいるが、客も店もお互い様という思いやりの精神で接すれば、もっと楽しく買い物が出来るはずではないだろうか。

記者:関根

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