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外国による徳川幕府の終焉

2023年06月27日 13:59 by norippe
2023年06月27日 13:59 by norippe

 幕末とは、日本の歴史における時代区分の一つで、江戸時代の終わりに当たる時期を指す。1853年にアメリカの黒船が浦賀に来航し、外国勢力の圧力や内外の混乱が続き、日本は世界の渦に巻き込まれることになる。この難局に立ち向かったのが徳川幕府である。徳川幕府と超大国イギリスとの日本を巡る熾烈な駆け引きがあった。

 1867年、時の将軍である徳川慶喜は大政奉還を行い、天皇に政権を返上するのだが、薩摩・長州を中心とする新政府と旧幕府勢力との間で戦いが勃発。いわゆる戊辰戦争である。
 イギリスは徳川を見限り、新政府を支持する方向へと舵を取った。この時点で徳川幕府はフランスの支援を受けていた。1年5か月に及ぶ泥沼の内戦が始まったのである。

 1868年1月27日に京都の南、鳥羽・伏見で始まった最初の戦いが戊辰戦争の始まりである。明治維新を推進する勢力と幕府軍との間で行われた戦いである。
 戦いは新政府軍が勝利、幕府軍は敗北となり幕府の権力は弱体化し、明治維新はさらに進展した。幕府軍や旧幕府支持派の一部は新政府に降伏し、明治政府への移行が進んだ。
 この戦いを契機に、日本の政治体制や社会制度が大きく変わり、幕末から明治時代への移行が本格化したのである。

 近代兵器を有する新政府軍が、時代遅れの徳川・旧幕府軍を圧倒したと言われてきたが、旧幕府軍がこの戦いで使用した武器は四斤山砲。フランスで開発されたばかりのものであった。幕末、徳川幕府はフランスと手を結び、軍事顧問団を招き近代化された軍隊を持っていたのである。
 新政府軍は思わぬ苦戦を強いられ、イギリスの特命全権公使ハリー・パークスは、この状況に危機感を抱いた

 当時イギリスは、自国にとって有益なパートナーを探していたが、徳川幕府は国内的にも対外的にも問題が多く、薩長による政権交代が好ましいと考えていた。
 イギリスは新政府への支持を打ち出そうと、徳川幕府に代わり新政府を承認する方針が示された手紙を天皇に送ったのである。

 イギリスのパークスは日本の内乱について、各国の代表と会談を持つことにしたのである。

 戊辰戦争勃発からまもない2月16日。パークスの主導で各国の代表が集まった。
 イギリス、フランス、アメリカ、プロイセン、オランダ、イタリアの6か国である。この時点でフランス・オランダ・アメリカは旧幕府と深い関係を持っていた。オランダは最新の大砲を積んだ開陽丸を幕府に提供し海軍の強化に関わってきた。アメリカは開陽丸を上回る新型艦の売買契約を幕府と結んでいた。開国以来、各国が正統な政府として承認していたのは徳川幕府であり、武器援助を通じて自国の影響力を高めようとしていたのである。

 パークスは国際法のある取り決めを各国に呼びかけた。
 外国は内戦当事者に対し軍事的な関与を行わない「局外中立」という宣言である。局外中立が適用されれば旧幕府・新政府の双方に対し、各国は軍事援助ができなくなるのである。これに対して徳川を援助し続けてきたフランスの立場は異なった。
 議論は3日間に及び、パークスの意向が事態を動かした。

 当時、貿易が許されていた港は横浜や長崎など4か所。現地の外国人の保護は幕府が責任を担っていた。しかし戊辰戦争の勃発で、開港地は新政府と旧幕府に分かれて支配されてしまう。もし一方が援助すれば、反対勢力が外国人の保護をやめてしまう恐れあるのである。パークスが持ち出したのは、公使たちにとって最重要である自国民の保護なのである。

 アメリカが真っ先に局外中立を賛成した。徳川に軍艦を引き渡せば、新政府側が支配する兵庫や長崎が制圧されるだろう。我が国民の生命・財産が危険にさらされる事になると考えたのである。
 残る5ヶ国も局外中立を宣言し、アメリカは最新の軍艦の引き渡しを凍結し、フランスも旧幕府軍に送っていた軍事顧問団を撤退させ、戦局が大きく変わったのである。

 そして徳川慶喜は新政府への恭順を決意し江戸城を新政府に開城し、260年以上続いた徳川の時代が終わったのである。



(次回:戦火は越後・東北へ)

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