福島県立博物館で9/19まで開催されている「新選組展2022」に合わせたツアー「新選組ゆかりの地をめぐる旅」は、9/6~9/7の両日、会津若松市や白河市などで行われた。参加者は新選組ゆかりの地を巡りながら、隊士たちに思いをはせた。会津歴史観光ガイド協会と福島民友新聞社でつくる「会津の歴史と文化に触れる協議会」の主催。1泊2日で行われ、約15人が参加した。初日は会津若松市など、2日目は白河市などを巡った。白河市では、戊辰戦争の白河口の戦いで新選組の宿舎となった「旧脇本陣柳屋旅館」を訪れた。参加者は内部を見学しながら、ガイド協会の石田明夫理事長から「斎藤一らが、今皆さんの立っている場所に寝泊まりしていた」との説明を受けた。大阪府和泉市から参加した立石令子さん(48)は「大好きな新選組と会津若松や白河の関係が分かって楽しかった。新選組がもっと好きになった」と話し、「隊士たちが宿泊していたという白河の旅館では隊士たちの様子を思い浮かべてタイムスリップした気分になった」と笑顔を見せた。
【「旧脇本陣柳屋旅館」】
また、福島県立博物館(会津若松市)で開催中の「新選組展2022―史料から辿(たど)る足跡」の関連イベントの記念講演会が9/10、同博物館で開かれた。東京学芸大名誉教授の大石学さんが「新選組と会津藩」と題して講演し、幕末に会津藩が果たした役割などについて詳細に解説した。大石さんはNHK大河ドラマ「新選組!」の時代考証を担当しており、この日は会津藩に関する記録の中から新選組に関わる部分を抜き出した史料を用意したほか、大河ドラマ「八重の桜」の内容も踏まえて幕末の会津を説明した。大石さんは、幕府と、長州藩など攘夷(じょうい)激派との対立の中間にいた会津藩などの「一会桑(いっかいそう)」勢力について言及。「中間派(である一会桑勢力)がしっかりしていればきっと大きな戦争は起きなかったが、中間派が分断して崩れたために幕府と攘夷激派が直接ぶつかることになった」と指摘し「言論、学問を大切にしなければいけないと言っていた(会津藩主)松平容保(かたもり)らのグループこそ、(崩れてしまわないように)鍛えられていなければならなかった」と主張した。また、幕末の構図を現代のロシアによるウクライナ侵攻に置き換え「米国や欧州は武器を送って均衡を保つ政治しかやっていない。第三勢力(中間派)が出てきて力でなく言葉でやめさせる努力を不断に行わなければならない」とし「会津の再建というのは、大きな問題を私たちに投げかけている」と言葉を結んだ。
【東京学芸大名誉教授の大石学さん】
会津若松市の福島県立博物館で開催されておりました「新選組展2022」は、9/19にて閉会しました。
【記者 鹿目 哲生】
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