【星になった星亮一先生】
衰えて死がおとずれるそのときは、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終わればよい。しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽して生き抜かねばならぬ(藤沢周平『三屋清左衛門残日録』)
次回作について、星亮一先生とのやり取りは年末まで続いた。数日後、大晦日夕刻、同志から訃報が入った。「星先生が急死されました」と。まさか? しかし、まさかではなかった。享年86。
講演で訪れた福島県柳津町の滝のや旅館では、先生と私は同部屋だった。夕食時、先生は笑いながら私にこう言った。「よく食べるなぁ。それだけ食べれば長生きするよ」と。私は先生のそのときの何気ない言葉が忘れられない。訃報に接し、思い出したのはこの一事だった。
『会津藩燃ゆ』『星座の人山川健次郎』と我が社ではまだ2冊。が、私は先生に「毎年一冊ずつ出しますよ」と宣言していた。
星先生には八幡和郎先生の紹介で出会った。会津とは縁もゆかりもない九州人なのに、先生と私は波長が合った。魂のバイブレーションを感じた。先の2冊とも、素材(原稿)をポンと私に渡して「あとは任せるからね」と言われた。「任せる」という言葉ほど編集者を奮い立たせるものはない。
星先生は死の直前まで意欲的に生きた。そして2021年の最後の日、「星」になられた。
梶原 純司 ぱるす出版(株)代表取締役
2022年12月号 vol.62
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