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太宰府天満宮「門外不出」の梅の木、福島高校へ「元気を届けたい」

2021年07月26日 16:54 by tetsuo-kanome

【学問の神様 太宰府天満宮】

 学問の神様、菅原道真を祭る太宰府天満宮(福岡県太宰府市)の梅の木が2014年2月、福島県福島市の福島高校に贈られました。神社以外に譲り渡されるのは極めて異例です。東京電力福島第1原発事故の影響が続く中、福島の将来を担う若者を励ましたいという同校OBと天満宮側の思いが重なりました。福島高校のOBが奔走し、太宰府天満宮の宮司を動かしました。

【福島県立福島高等学校】

 2011年3月11日の東日本大震災で福島高校の校舎が損壊し、避難所にもなりました。生徒は体育館や仮設校舎での授業などで不便を強いられました。「ここで学んだ3年間の誇りを感じてもらうため、できることはないか」。同校卒でガス供給会社社長の篠木雄司さんは、かつての級友と話し合いました。同校は梅の花が校章で「梅校」とも呼ばれております。「梅を植樹しよう」「できれば太宰府の梅を」。厳寒風雪に耐え、百花に先駆け花を咲かせる梅の姿と現況を重ね合わせ、級友の意見が一致しました。篠木さんは地元の神社関係者に相談しましたが、「ご神木を譲り受けるのは到底無理」と言われました。諦め切れず、2013年6月にアポなしで太宰府天満宮を訪問。福島の子供たちの様子をつづった手紙を職員に渡しました。太宰府天満宮は被災者支援のため、西高辻信良宮司(60)らが何度も東北に入っておりました。同校OBで福島市の神社宮司の力添えもあり、西高辻宮司は程なく、梅の若木5本を譲ることを承諾。うち1本は種類不明の木で、福島高校が名付け親になってほしいという「計らい」もあり、福島高校の生徒たちにより「福高の暁」と命名させていただきました。地元で協力の輪も広がりました。福島-太宰府は往復約2800キロ。どのように運ぶかが難題だったが、同校のOBが社長を務める運送会社が名乗りを上げた。梅の由来を刻んだ石碑の建立には別のOBが協力。一連の費用は同校同窓会が全面支援することになりました。

 植樹式は3年生の卒業式前日、2月28日に開かれ、太宰府天満宮の西高辻宮司も福島高校を訪れ、生徒らを前に講話をしました。宮司は「梅が校章と聞き、縁を感じました。道真公を慕って梅が京都から飛んできた飛梅伝説があるが、今度は逆に西から東へ梅を届け、春一番、元気を皆さんにお伝えできれば」と思いを語りました。同校の本間稔校長(60歳)は「3年生は入学式の延期や体育館での80人学級といった不自由を強いられてきた。その卒業生へのはなむけとして大変ありがたい」と話しました。

【太宰府天満宮から梅の植樹の様子】

【福島高校の梅の植樹の様子】

 そして、2018年、文部科学省の教科書検定に合格した中学校の道徳教科書で、福島市の福島高校に福岡県の太宰府天満宮から贈られた梅の若木のエピソードが掲載されました。掲載されたのは東京書籍の中学1年生用教科書。東日本大震災からの復興を願う人々の思いや、自然とのつながりなどを扱う項目の中で取り上げられました。

 太宰府天満宮以外は門外不出としていた境内にある「飛梅」伝説に由来する梅の若木5本が福島高校に寄贈されました。同校は震災で教室の大半が使えなくなり、生徒は3年間、仮設校舎での授業を余儀なくされました。不自由な学校生活を送っていた後輩を励まそうと卒業生が「学問の神様」として名高い太宰府天満宮に働き掛け、西高辻信良宮司の協力を得て若木の提供を受けました。5本のうちの1本は、福島高校の愛称「福高」と震災からの復興をなぞらえ「福高の暁」と命名しました。

 中心となって事業に取り組んだ同校OBで福高33回卒代表幹事の篠木雄司さんは「教科書に載れば全国の中学生の事業への理解が深まる。太宰府の梅が福島にあることを知ってもらい、風評払拭(ふっしょく)につなげたい」と話した。渡辺健寿同窓会長は「福島の子どもに素晴らしい物語がさらに広がってくれればうれしい」と期待しました。菅野誠校長は「教科書に載っている梅として、生徒をさらに勇気づける象徴になる」としております。太宰府天満宮の西高辻信良宮司の話 皆さんの素晴らしい思いが教科書という形になったのだと思う。5本の梅の植樹の際には私も福島高を訪れた。未来を担う生徒を勇気づける存在となるよう、常に天満宮から祈っております。

【道徳教科書の写真】

【福島高校へ植樹された梅の開花の様子】

 6/28にBSテレ東で放送されました「THE名門校 日本全国凄い学校名鑑・不滅のバンカラ魂!震災乗り越えた福島高校」を見て、このような事実を知りました。私は福島高校の卒業生です。この番組を見ていて何度も涙が流れるほど感動しました。東日本大震災で母校が被災したのは聞いておりましたが、こんな素晴らしいエピソードがあったことは全く知りませんでした。私は、原発事故後、故郷の福島で5年半勤務し、母校福島高校の近くアパートに単身赴任しておりましたが、一度も母校を訪れておりませんでした。今度、帰省した際には、絶対に、太宰府天満宮から植樹された梅を見に行こうと思っております。

福島県立福島高等学校 校歌
 
徽章は薫りのいみじき梅花
氷霜凌げる操は清し
健児は一千こぞりて励む
福島高校
栄えよ永く
 
庭には湛ふる心字の池水
穿ちし由来は尊し優し
六千余尺の姿をそこに
映すや吾妻の
山また嬉し

【記者 鹿目 哲生】

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