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霊は静かにやって来た

2019年06月05日 18:38 by norippe

 元号が令和に変わってから世の中はどう変わったか。まだひと月しか経っていないので、そんなに急激に変わるはずもないが、アメリカと中国の貿易摩擦がとても気がかりだ。穏やかな令和時代であって欲しい。
 さて、ここでの話は「令和」ではなく「霊は」の話である。

 私の住んでいるいわき市平は城下町。戊辰戦争の戦場があちらこちらに点在する町なのである。私の家から南に500m位行ったところに谷川瀬という場所があり、新川という川が流れている。ここに陣を置いた磐城平藩は西軍と交えた戦いがあった。150年経った今、本当かどうかはわからないが、深夜になるとざんばら髪の侍が出没して川べりを歩いているという噂を聞く。戊辰戦争で亡くなった藩士の霊なのだろうか。

 また、我が家の東側には夏井川が流れ、この川の河原では磐城平城の処刑場として使われた場所がある。川には鎌田橋という赤い橋がかかり、この橋のたもとには「首斬り地蔵」が祀られている。磐城では元文一揆というとても大きな百姓一揆が発生し、その時の一揆の首謀者ら9人が斬首処刑された場所なのである。その霊を悼み建てられたのがこの首斬り地蔵なのである。


夏井川にかかる鎌田橋のたもとにある首斬り地蔵

 川向うには東日本国際大学があり、その敷き地の片隅に処刑された人達の霊を弔う為の石碑「元文義民碑」が建っている。
 この夏井川は夏になると水難事故や工事などで亡くなった人の霊を供養するための灯籠流しがあり、また川施餓鬼供養「じゃんがら念仏踊」が披露されている。そんな多くの霊が漂う場所に私の家がある。

 もう10年以上も前の事であるが、私の家は入口のドアを開けると風除室になっていて、さらにドアを開けるとそこが玄関になっている。玄関の真っすぐ先には2階に上がる階段がある。
 ある時、家を訪ねて来た男性客が、ドアを開けて玄関に入ったところ、階段を上がって行く足が見えたとのこと。体は見えず足だけが上がって行ったと言うのである。足だけ?そんな馬鹿なことがあるかと私は思った。しかしその後、我が家の娘も階段を上がって行く足だけを見たというのである。我が家の娘は霊感が強いところがあり、まんざら嘘を言っている様子でもなさそうだ。
 我が家の2階は私の部屋と娘の部屋、それに女房の部屋がある。女房と娘は留守をする事が多く、私ひとりで夜を過ごすことが多い。私の部屋は階段を上がった奥にあり、反対側は娘の部屋になる。私の部屋はいつもドアを開けたままの状態で、ドアの近くに本箱があり、その横にパソコンを置いた机がある。パソコン画面を見ながら、横目でドアの外が見えるようになっているのだ。

 ある日、パソコンに向ってキーボードを叩いていた時、廊下を何か黒いものが横切ったのがうっすらと見えた。横切ると言ってもゆっくりではなく、何かがサッ!と転がっていく感じであった。私は目が悪いので、目の不具合かなと思っていたが、その数分後、また同じ物が今度は反対側に通り過ぎたのが見えた。娘の部屋から出て行った感じだった。その真っ黒い物体は、アニメ「となりのトトロ」に出て来る「真っ黒くろすけ」のような感じであった。ハッキリと見えた訳ではないが、フワフワとした丸くて黒いマリモのような感じの物であった。怖いという感じはなかったが何となく気味が悪かった。この黒い物体と階段を上がってくる足は関連性はあるのか。これは階段だけに怪談話である。

 後日、どうしても気になるので我が家を霊媒師に見てもらった。すると、何と我が家は霊の通り道になっていると言うのだ。霊は道路を挟んだ反対側の建物の裏を通って、我が家の玄関から入って来るそうだ。そして階段を上って2階に達し、窓から抜けて裏にある緑地公園に出て行くと言うのだ。緑地公園の先の東北東には、あの首斬り地蔵が祀られた鎌田橋がある。間違いなく我が家は霊の通り道であるとの事だ。
 しかし、何故わざわざその霊は家の中を通らなければならないのか。家の外側を通って行けばいいのにと思った。霊媒師は、じっと天井を見上げて溜息をついた。処刑場で斬首された人の霊なのか、はたまた戊辰戦争で討死した藩士の霊なのか。いずれにしても、この家に恨みとかがあるわけでもなく、悪さをする霊でもないと言う。
 災いの心配もなく、霊にとっては通り心地のいい場所のようだと霊媒師は言う。しかしそんな話を聞かされた私は、これから一人で寝るのが怖い気がした。

 そしてつい最近の事であるが、とても怖い思いをした。それは真夜中の出来事であった。家族はみんな東京に行っていて家には私ひとりだった。風呂から上がり酒を飲み、心地よくなったので眠る事にした。もう1時を過ぎていた。
 私の部屋の窓のカーテンは遮光カーテンなので、外からの光は入ってこない。電気もすべて消して寝るので部屋は真っ暗だ。すぐに眠りにつける状態である。
 そして深い眠りに入ろうとした時、階段の方からかすかに「ミシッ!」という音がした。我が家は東日本大震災の大地震で、建物のところどころに亀裂が入り、たまに家が揺れると「ミシッ!」と家がきしむ音がする。しかし、その時は真夜中の時間帯なので、大型トラックが走ることもなく、家が揺れることもなかった。
 しばらくたってまた「ミシッ!」とかすかに音がした。そして三度目の「ミシッ!」という音で、これはただ事ではないと感じた。泥棒でも潜んでいるのではないか。とても怖くて目が開けられなかった。目を開けたところで部屋は真っ暗なので何も見えるはずもない。しかし、なんとなく幽霊の気配がした。心臓は爆発寸前。
 うっすらと相手に気づかれないように目を細くして開けて見た。だが、真っ暗で何も見えない。やはりこれは家がきしむ音なのか。そして目を閉じてから1分くらい経った時である。
 今度は私の顔の近くで「サッ!」と布団をかすめる気配がした。間違いない、幽霊が私のそばに来ているのだ。もう心臓はバクバクだ。くそぉ!!死ぬ思いで目を思い切り見開いた。「出たぁ!!!!!」「ぎゃぁぁぁ~~~!」
 幽霊も私の声で驚いたのか、目をまん丸にして驚いた様子だった。
 私の目の前の幽霊の姿がうっすら見えた。
 私は手を伸ばし、幽霊を捕まえた。

 「真っ黒くろすけ」に似た我が家の黒猫であった。なんと人騒がせな奴だ。ふだん、猫は1階のリビングに居て、2階に上がって来ることはないのだが、何故か上がってきたのだ。2階には娘のドレスや荷物が山ほどあって、猫に入られたら大変なことになるので、上がれないようにしてある。夜は高さ2メートル位ある三段式のゲージの中に入れて、鍵棒を2か所に刺して出れないようにしてある。しかし、その夜は鍵棒を一か所しか刺しておらず、猫はその鍵棒を外してゲージから脱出したのであった。
 捕まえた猫を抱え、一階のリビングのゲージの中に入れた。今度は2か所に鍵棒をかけ、これでひとまず落着したのである。



 しかし「真っ黒くろすけ」は解決したが、階段を足だけが上がって行く現象は未だに解明されていない。最近、階段の上がり下りが辛い時があり、体力の衰えかと思っていたが、実は、この足だけの霊が私の足に影響を及ぼしているのかも知れない。霊は静かに近づいて来ている。

(記者:関根)

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