バックナンバー(もっと見る)

2024年春季号 vol.5

今年は3月後半が寒かったせいか、例年より桜の開花が遅くなっておりましたが、全国…

2023年秋季号 第3号

戊辰戦争では、当時の会津藩は鳥羽・伏見の戦いで「朝敵」とみなされ、その後も新政…

ザ・戊辰研マガジン

2018年06月号 vol.8

リレーで繋ぐ講演会の輪

2018年06月04日 12:11 by norippe
2018年06月04日 12:11 by norippe

 福島県いわき市の市民団体「いわきフォーラム90」が運営するものに、ちょっと変わった企画があるのでご紹介したいと思います。

 「いわきフォーラム90」が主催する企画「ミニミニリレー講演会」というものです。

 ミニミニリレー講演会って何?と思われる方がいるかと思います。ミニミニなので小さな講演会ということになりますね。ではリレーって何?それは講演会の講師が次の講演会の講師をリレー式につないで行くといったものです。
 講演会の内容には特別な制約はなく、政治のこと、経済のこと、歴史のこと、選挙のこと、趣味のことなどなど、講師が得意とする分野の講演を実施するものであります。また、講師は普通の市民を講師に迎えてのもので、特別な講師である必要はまったくありません。
 このミニミニリレー講演会は聴講者の参加費用はまったくありません。そして講師に対する報酬もありません。会場までの交通費も自費負担となります。
ただし、講演中に「講師育成基金」と銘打った募金缶が回ります。講演会に参加して良かったなと思ったらその気持ちを入れてもらうと言うもので、どうしても入れなければならないと言うものではありません。気持ちですから十円でも百円でも、千円でもいいのです。一万円なんて入れられたら、どうしましょ!勿論入れなくてもいいのですよ。この募金缶、聴講者が会場でリレー式に回して募金を募るものなので、会ではこれを「ミニミニリレー募金缶」と言っています。

 1991年にスタートしたミニミニリレー講演会ですが、月に2度の頻度で開催しており、もうすぐ480回を超えようとしています。1000回を目標とし、講師・聴講者獲得に日々努力しているのであります。すぐに講師が見つかればいいのですが、そう簡単にはいかないものです。その都度講師探しに奔走する日が続いているのです。
 私にも講師依頼の声がかかりましたが、今のところ思案中です。
もう20年位前でしょうか、私は一度だけ教壇に立ったことがあります。職業訓練センターでのプログラミングの講師でした。聴講者は某電機メーカーの社員さんで、企業のシステム運営に役立てたいと約20名の参加者で、2班に分かれて約半年間の講義でした。一人一台のPCを使い、講師のPCにはプロジェクターが接続されていて、大きなスクリーンに画面を映し出しての講義でした。聴講者の年齢は幅広く、若い方から年長者までの男女で、プログラミングに知識のある方からまったく知らない方までいろいろでした。カリキュラムは私のほうで組み立てて、なるべく初心者に理解出来る形の内容に仕上げました。しかし、時間の割り振りがうまくいかず、最期の頃は急ぎ足の講義になってしまい、はたして聴講者の皆さんがすべて理解して貰えたのかは疑問の残るところとなりました。
 なにぶんプログラミングといっても20年前の話、情報機器の発展は目覚ましいスピードで進化をしている中、今更昔のやり方を講義内容にする訳にはいきません。という訳で講演会の講師依頼は白紙状態です。

 話がそれてしまいましたが、2週間おきに講演会を開き、講師を探すということはほんとうに大変なことだと思います。このミニミニリレー講演会は普通の市民を講師に迎えるとありますが、中には名の知れ渡っている方を講師に迎えることもありました。元福島県知事の佐藤栄佐久氏も8年程前に「『地方自治』を語る−「知事抹殺」からみえてくるもの」というテーマでミニミニリレー講演会の講師として弁をとっています。現いわき市長の清水敏男氏も、県議会議員時代に「若手議員からのメッセージ」と題した講演を行っています。また名前はここでは伏せますが、某有名大学の教授も講師として参加されています。
この大学教授の講演でのエピソードをひとつ紹介したいと思います。

 教授は普段、大勢の学生を相手に教壇に立っているので講演は慣れたものです。その大学教授がこのミニミニ講演会の講師として弁をとっていただけることとなりました。報酬も何も無い中、いわきの市民団体運営の講演会の為にと思い参加していただけたのです。会場はいつも使っているいわき市文化センター。
 このいわき市文化センターは地下1階地上6階建の建物で、一階は大ホール、2階から5階までは会議室から展示室、創作室や実験室など、6階はプラネタリュウムなど様々な部屋に分かれている施設であります。


(いわき市文化センター)

 この大学教授を迎えての講演会は4階の会議室でした。会議室は30~50名が収容出来る部屋がいくつかあって、その一室を使用することとなりました。講演会の当日、この大学教授が会場に入って来て不思議そうな顔で係に尋ねたのです。
「私が講演する会場はここで間違いないのですか?」
係員は「そうです、ここで間違いありません。」
それを聞いた教授は唖然とし、立ちすくんだままでした。
聴講者が10名にも満たない人数だったのです。
「この人数でやるの?」と教授は確認をしました。
係員は「お願い致します」と言いました。
教授は気が抜けました。
普段、何十人何百人という学生の前で講義をしている私が、こんな少人数の前で講演をする事はありえないと憤慨したのであります。
しかし、受けた以上はやらざるを得ないと腹をくくり、しぶしぶと講演を始めました。
 講演が始まって1時間が過ぎた頃でしょうか、聴講者の一人から質問が上がりました。その質問の回答を述べたあと、今度は別の聴講者から質問が上がりました。
そうこうしている間に我も我もと質問をあびせられ、いままで一方通行で話すだけの講演が多かった中、今日の講演会は何だ?と驚いた様子の教授だったのです。
 普段、大学で講義をしていても講義の内容に質問をする学生はほとんど無く、中には眠っている学生もいるそうです。結局、単位だけ取れればという考えで、教授の講義などはどうでもいいという学生がいる訳です。
 ところがどうでしょう。このミニミニリレー講演会を聞きに来た人達は、本当にこの講演を聞きたいという思いで参加された聴講者だったのです。
 教授は衝撃を受けたそうです。大勢の前での講演に慣れてしまった大学教授は、少人数での講演などと軽蔑した思いを抱いていましたが、まったく考えを新たにしたのです。人数さえ多ければいいということではなく、いかに興味をもって聞いてくれる人達がいるかが大切だということです。教授は帰りにはとても明るい表情で、また次回お願いしますと言って、足取り軽く帰って行ったのです。
 ミニミニリレー講演会、ほんとうに小さな小さな講演会ですが、実のある講演会を手掛け、1000回達成を目指して日々奮闘しているのであります。

 せっかく実施した「ミニミニリレー講演会」を少人数だけで終わらせては勿体無いということで、会では会報誌「まざりな」を発行して講演内容を記事に掲載しています。「まざりな」とは、いわきの方言で「一緒にやりましょう」という意味です。


(会報誌「まざりな」)

 みんなで広げよう講師の輪「ミニミニリレー講演会」の運営者である瀬川千佳子さんはいわき市在住。一昨年の甲子園で聖光学院のショートを守り、ホームランを打って大活躍した瀬川君はこの瀬川千佳子さんのお孫さん。一昨年はお孫さんの活躍を見るため老体(?)に鞭打って、甲子園に張り付いていたそうです。
 会報誌「まざりな」はご自身でパソコンを操作して発行しています。たいしたものです。
しかし操作で困った時はパソコンを抱えて私のところへやってきます。
教えて教えて!と言ってやってくるので、教えてやりますが、講義料は頂いておりません。今度来た時は募金缶を用意しておく事にします。(笑)

 「ネットワークの輪があり、情報交換の輪であり、情報交換の場であるミニミニリレー講演会に一度遊びに来てみませんか。」と言っておられます。是非興味のあるかたは参加してみてはいかがでしょうか。勿論、講師としての参加も大歓迎です。 ちなみに、6月12日(火)は永山銀一さん講演の「戊辰戦争伝記(旧飯野村)」です。

(記者:関根)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2024年春季号 vol.5

今年は3月後半が寒かったせいか、例年より桜の開花が遅くなっておりましたが、全国…

2023年秋季号 第3号

戊辰戦争では、当時の会津藩は鳥羽・伏見の戦いで「朝敵」とみなされ、その後も新政…