ザ・戊辰研マガジン

Vol.6

戊辰戦争研究会アルバム

2018年04月05日 21:50 by date

 

岩手県盛岡市「石割桜」

 岩手県盛岡市の盛岡地方裁判所の構内には、割れた大きな石の割れ目から成長した桜の木がある、「石割桜」である。この場所は藩政時代の盛岡藩家老「北家」の屋敷があった場所で、「石割桜」はもともと北家の庭石であった。それが360年ほど前に落雷に会い大きな庭石が割れ、その割れ目から桜が芽吹き、桜が大きくなるに連れて、割れた石を押しのけて大きな桜の木に成長した。大きな石を押し退ける桜の木の成長力に人々は感嘆し、桜の生命力を称えるのである。力強い桜の成長をさも人間の努力に例えて称賛するのは人の常であるが、確かに大きな石を押しのけて成長する桜の木の生命力は素晴らしいものである。
 
 では、割られて押し退けられた「庭石」の立場はどうなるのだ。

 360年の長きに渡り桜の木の成長が褒め立てられ称賛されることが公平な見方なのか、有機物の桜の木と無機質の石を同じように見ることはできないだろうが、石には石の立場がある。この盛岡藩家老北家の大きな庭石は、庭石としてその威容をいまだに誇っています。この庭石はどこからどのようにして北家の庭石になったのだろうか。そして盛岡藩政時代に人々にどのように称賛されたのであろうか。この庭石の存在を忘れての桜の木の称賛には納得できない。
 同じ敷地に存在する両者を同じように称えてこそ歴史が存在する、「勝てば官軍」ではない、勝ったほうが(桜の木が)歴史を作るのではない、勝ったほうが(桜の木が)自分の都合のいいように桜の木の成長力を称えられる歴史を作られては「割られた石」はたまったもんじゃない。

平成29年9月 撮影者 伊藤 剛

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